インド:ラジャスタン州高裁、聖なる土地「オラン」への脅威を巡る申立を受け、太陽光発電事業を一時停止し、土地の専門調査を命令
[OPINION | Green Energy Versus Sacred Ecology: The battle over Rajasthan’s Orans] 2026年5月22日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権センター]
近年、インド政府による太陽光発電の推進は大きな成果として喧伝されてきた。しかし、インド有数の再生可能エネルギー拠点とされるラジャスタン州では、農民らによる太陽光発電事業への反対が繰り返されている。その背景にあるのが、「オラン」と呼ばれる聖なる地が脅かされているという懸念だ。オランは、地域共同体が代々守り伝えてきた宗教的・文化的に神聖な土地である。巨大なタール砂漠の生命線ともされ、放牧や水源保全、生態系の維持に欠かせない役割を担い、樹木が点在する豊かな環境を形成している。ラジャスタン州西部では近年、太陽光発電事業向けの土地割り当てにともない多数の樹木が伐採されているとして、オランの保護を求める抗議活動が相次いでいる。
こうしたなか、ラジャスタン州高裁が同州ジャイサルメールでの太陽光発電事業向け土地割り当てと樹木伐採をめぐって介入したことは、インドの再生可能エネルギー政策における重要な転機とみられている。[...]
今回の裁判所命令は、公益訴訟(PIL)を受けたものだ。この訴訟では、インド最大級のインフラ企業アダニ・グループに関連する太陽光発電事業向けに割り当てられた土地が、実際にはオランに該当すると主張されている。PILを受けて、裁判所は樹木伐採の停止を命じ、対象地がオランに該当するかどうかについて専門家委員会による調査を指示した。オランの生態学的・文化的な重要性を認めた形だ。[...]
[...] オランをめぐる法的な曖昧さも、問題をさらに深刻にしている。多くのオランは政府文書上で森林として登録されておらず、「Charagah(放牧地)」や荒地などに分類されているため、当局がこれらの土地を太陽光発電施設や産業開発向けに割り当てることが可能となっている。
問題をさらに複雑にしているのが、太陽光発電事業が現行の環境規制の対象外とされている点だ。[インドでは2006年に、開発事業に環境影響評価と環境承認の取得を義務付ける政府通知(EIA通知)が発出されているが、]高速道路や水力発電事業などとは異なり、太陽光発電事業はその対象から除外されている。[...]
[...] 重要なのは、太陽光発電とオランのどちらを選ぶかではなく、両立可能な仕組みを構築することだ。具体的には、土地の正確なマッピング、地域共有地の法的承認、そして地域住民を交えた実質的な協議が欠かせない。ラジャスタン州の持続可能な未来は、聖なる共有地を破壊する大規模太陽光発電施設にあるのではない。地域主体の分散型太陽光発電の中にこそある。[...]